わんにゃん豆知識

ペットと暮らしているといつもいろいろな不思議や疑問にぶつかります。
そんな不思議、疑問を動物のお薬を作っている共立製薬株式会社が解決いたします!
(学術監修:石田卓夫先生)

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困った行動の解決方法 / 犬編

第1回:恐怖症

はじめに

犬の問題行動を全5回シリーズで紹介します。伴侶動物として身近にいる犬との共同生活を快適にするために、ここでは恐怖症・分離不安・支配性攻撃・老齢犬問題などを取り上げます。
犬の生活環境、家族の対応は様々ですし、さらに犬にも個性があります。このシリーズで全てを網羅することは不可能です。一般的な記載になることをご容赦ください。

問題行動の原因、裏側の犬の心理、基本的な対処法を“知識”として提供しますが、残念ながら理論と実際は大きく異なります。それぞれに適した対応を家族が模索しなければなりません。問題行動の矯正には手間と時間を要します。気長に対処せざるを得ないこともご理解ください。

家族だけで全ての問題行動を解決に導くことは困難かもしれません。“プロの力”を借りることも必要です。パピー教室、しつけ教室などを利用されることもご考慮ください。

恐怖症に対する対処法

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犬が恐怖をあらわにすることがあります。その対象は、音、光、他の犬、子供、自転車、車・・それこそ様々です。逃げる、避ける、震える、あえぐ、鼻を鳴らす、無意識に排尿するなどの恐怖行動は人間と同様です。人間とちょっと違う行動に、恐怖が誘発する攻撃行動があります。恐怖のあまり思わず攻撃してしまうこともあります。

犬の恐怖行動の原因はなんでしょう。持って生まれたものでしょうか。確かに遺伝的な恐怖行動もあるようですが、その大部分は学習されたものです。留守番中の突然の雷鳴、ひどい交通事故に遭遇など、犬にとって不快な刺激、驚愕の刺激を学習してしまった結果なのです。

幼犬時代の社会化期(生後1〜3ヶ月頃)、特にその後半の体験が大きく影響しています。社会化期に人間との接触が少ないと人間を怖がりますし、他の犬と遊ぶ機会が少ないと犬を怖がります。つまり社会化期に経験したことのないような目新しいものや見慣れないものに対して恐怖を覚えるようです。さらに恐怖心はその後ますます発達し、家族の誤った対応などにより強化されていくと考えられています。

基本的対処法
  1. 怖がるような状況は避ける
  2. 恐怖行動を示したときは無視する
  3. 恐怖行動を示しているときに、撫でたり、話しかけたり、見つめたりしない
  4. 犬が正常な行動を示すよう基本的服従訓練を行う
  5. いつもなら怖がる場面で怖がらなかったらきちんと誉めてあげる

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怖がっている犬に優しい言葉をかけると、一時的には恐怖心がおさまったかのように見えます。しかし、犬は「怖がると優しくしてくれるんだな、よしもっと怖がろう」と考え、恐怖行動を家族が無意識に強化したことになります。“無視”が一番です。

どんな問題行動にも基本的な服従訓練(来い、座れ、待て、伏せ、伏せて待て)が最も重要です。「伏せ」「伏せて待て」は難しいかもしれません。でも「来い」「座れ」「待て」くらいはなんとかしましょう。芸を教え込むわけではありません。家族の支配性を高め、犬をコントロールできるようにすることがポイントです。

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恐怖の素(例えばトラック)が近づくのを家族が察知したとき、すぐに犬を呼び、ちゃんと来れば誉め、そして何か命令をしてみます(例えば「お座り!」)。これは家族に注目させることにより、恐怖をうまくやり過ごすことが目的です。でも、あくまでも犬が恐怖を感じる前にやらなければ無意味になります。恐怖を感じてからだと恐怖行動を強化することになります。重要なのはタイミングです。家族も大忙しです、恐怖の素を犬より先に見つけなければなりません。

積極的な治療法としては、段階的訓練法があります。このためには、例えば、雷鳴のCDなどを用意し、犬が聞こえるか聞こえないかくらいのボリュームから訓練をはじめます。小さな音で犬がおとなしくしていたらごほうびをあげます。次の日にはボリュームを1段階上げて、同じことを繰り返します。このような訓練には専門家による指導が必要なので必ずしつけ教室などに相談して下さい。

ケーススタディ

(1)自転車に乗った人を怖がる犬

  1. 犬が恐怖行動を示す前にすぐに犬を呼び戻す(「示す前に」がポイント)
  2. すぐに戻って来たら、誉めてあげ、お座りをさせる⇒命令に従ったら、もう一度誉める
    (呼び戻しができるくらいの事前の基礎的服従訓練は必要です)
    (犬が好きな遊びに誘うのも一方法です。遊びに集中させてやり過ごします)
  3. 自転車が通り過ぎるのを静かに待つことができたらさらに誉める

※ 自転車・バイク・車を見ると攻撃行動(吠えつく、追いかける)を示す場合も上記方法が応用できます。

ケーススタディ

(2)子供を怖がる犬

  1. 子供が近づいて来るのを犬が待てるようにする
    (犬に慣れた子供に協力をお願いします。ただし、無理に接触させようとしてはいけません)
  2. 子供の命令に従うようにする
  3. 子供と犬だけにして、命令してもらい、従ったらご褒美を与えてもらう⇒さらに一緒に遊んでもらったりする
    (子供と犬だけにするときは、きちんと陰から見ていなければいけません)
ケーススタディ

(3)車に乗ることを怖がる犬

  1. 室内で服従訓練をする→次に自宅の庭などで
  2. 車のそばで服従訓練をする
  3. ドアを開けたままの車のそばで服従訓練をする
  4. ドアを開けたままで車に乗せ、そこで命令する 
    (従ったら食べ物のご褒美を与えます)
  5. ドアを閉めて命令し、従ったら誉める
  6. 車のエンジンをかけて服従訓練をし、従ったら誉める
  7. 車をほんの少し動かしてみて、それでも怖がらなかったら誉める
  8. 車を動かす距離を徐々に伸ばしてみる
    (怖がらずに静かにしていたときは、食べ物のご褒美を与えます)
  9. 車に乗せて短い距離からドライブをしてみる

※ この対処法はステップ・バイ・ステップです。一つのステップで、犬がまったく恐怖心を見せなくなったら、次のステップに進んでください。あるステップで怖がった場合、怖がらないステップに戻ってください。そしてもう一度試してください。そのときはなるべく時間をかけてステップアップするように心がけてください。



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