2015.03.10

三畳紀パーク― 月の谷

イメージ

高さ150mの赤い壁が青空にそそり立ち、赤と青の壮大なコントラスト。

アルゼンチン中部に位置するイチグアラスト州立公園、通称Valle de la Luna「月の谷」。驚くことに、月の谷では世界で最も多くの恐竜化石が発見されているJurassic ParkならぬTriassic Park。

現在は、強い風が吹く赤土だらけの荒涼とした乾いた大地だが、かつて恐竜がいた時代は、あふれんばかりの緑豊かな所だったに違いない。

イメージ

Triassic=三畳紀は、 Jurassic=ジュラ紀より古く、地球最古の恐竜が生きた時代とされている。地球年代学によると地質年代は「古生代」「中生代」「新生代」の三つに区分され、中生代はさらに「三畳紀」「ジュラ紀」「白亜紀」に分けられる。

中生代の最初の時代である三畳紀では、ほとんどの大陸が一つにまとまっており「超大陸パンゲア」と呼ばれていた。爬虫類やアンモナイトが栄え、三畳紀後半(約2億3千年前)にようやく爬虫類から進化した恐竜が出現している。

中生代の真ん中のジュラ紀には、恐竜が巨大化し、よく知られている首長竜や翼竜も繁栄。鳥類の祖先の始祖鳥も現れ、世界的に気候が温暖だったとされる。

「あの映画はなぜジュラシックだったのだろう?」

タイトルを三畳紀の「Triassic Park (トライアシックパーク)」にした場合、恐竜はまだ巨大化しておらず迫力に欠ける。映画には白亜紀の恐竜が最も多く登場するのだが、 白亜紀の「Cretaceous Park (クレテイシャスパーク)」の語呂もあまりピンとこない。 よって、恐竜が巨大化したジュラ紀を舞台に「ジュラシックパーク」という表題にしたのではないか。と、勝手に推測。

「なぜ三畳紀パーク「月の谷」で、多くの恐竜の骨が見つかっているのか。」

イメージ

それは、恐竜が誕生したばかりの2億3千年前の地層が地殻変動によって隆起し、地上に出現したからだ。さらに、アンデス山脈と氷河からの強風によって岩は様々な形に削り取られ太古の地層がむき出しになっている。土に覆われていた骨が姿を現し、何億年も前の植物の化石までもが岩壁に押し花のように美しく残っている。

公園内を歩いていると、あちこちで見つかる三畳紀の遺物。石ころと見間違えてしまいそうなものまでが恐竜の骨なのだ…。

実際に、恐竜の骨を発見すると、約2億3千年前の恐竜の骨を掘り返しているのだと、無我夢中で発掘に没頭!子どもが、博物館で恐竜の骨に夢中になっていた気持ちがここにきてようやく理解できた。刷毛や特別な道具で、骨を傷つけないよう土を取り除いていくと、見えていた部分以上の大きな骨が土の中に隠れていた!リンコサウルスと呼ばれる三畳紀末には絶滅してしまった恐竜の太ももだった。

自分の親の親、またその先の親と、自分の先祖を辿ろうにも辿りきれず、どこかで時代は途切れてしまうが、見たこともない、会ったこともない恐竜の骨を目の前にして一気に太古の時代へタイムスリップしてしまう。恐竜の骨の内側をよく見ると黒い。これは骨の空洞部分に堆積物が溜まったためだという。

「恐竜のみならず何故アルゼンチンでは生き物が巨大だったのだろう!?」

アルゼンチンでは、巨大なナマケモノの祖先やラクダの遠縁、高さ2mを超す超巨大ペンギンの化石までもが発見されている。また、パタゴニア地方にはパタゴンと呼ばれる伝説の巨人族もいたとされる。南極は氷で覆われておらず、エサも豊富で外敵が少なかったためだろうか。

「なぜ、恐竜の骨は空洞だったのか?」

それは、体が巨大化しても自由に身軽に動けるよう自ら骨を軽くしたためだと言う。

「恐竜は最初は小さかった!?なぜ巨大な恐竜へと進化していったのだろう」

イメージ

恐竜ははじめから大きかったわけではなくあの巨体に進化していったのだ。エサである裸子植物が背が高かったからなのか?草食恐竜が大型化したため、彼らを狙う肉食恐竜も大型化していったのか?共存共栄というより、相手を蹴落としてでもいかに生き残るかという生存競争があり、恐竜の時代にも、その時代その時代に進化があったということなのか。

その時代、彼らは最も強く、最も巨大な生き物として、約2億年の間、生存のために貪欲に進化し、順応していたつもりだった。けれど、彼らはいま地球上に一頭も存在していない。生き残っていないのだ。

「恐竜はなぜ絶滅してしまったのだろう。」

イメージ

今からおよそ6550万年前に恐竜は絶滅したと考えられている。原因は諸説あり、巨大隕石の落下説、大洪水説、伝染病説、ポールシフト(極移動=自転軸の大幅な傾斜現象)によって地球磁場が変化。重力が急激に増大したため、自分の重さに耐えきれなくなって自滅したという説もある。

歩いている姿のままで発見された恐竜もいるという話を聞いてしまうと、太陽フレアの影響という説も大いに考えられるし…

どんな他生物にも勝つことができ、思い通りにエサをとり、自分の力でなんでもできると思ってしまう。自分の力で生き、自分の力で支配できる、そうなった瞬間、大きくて強いだけの生き物は環境の変化に順応できず、絶滅してしまった……と、考えることもできる。

イメージ

恐竜は2億年近くこの地球上で繁栄した。我々人類はまだほんの数百年。 人類はこの数百万年の間にものすごい速度で進化している。他と比べようのない稀有な生き物だとつくづく感じる。

宇宙にはアポトーシスという原理がある。個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされるプログラムされた細胞死…。恐竜は地球の中でアポトーシスされた生き物なのだろうか。

しかし、この時代には恐竜も地球に必要だったのだ。私たち万物の霊長である人類が誕生するためのプロローグだったとしたら・・・

遥か太古の時代に恐竜が確かにこの地球に存在していた証を見て、私たち自身がアポトーシスされないように生きなければいけないと、私は未来に思いを馳せていた。

このページのトップへ