2014.09.09

コロンビア-エルドラドの名残

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多種多様な生物が暮らす国コロンビア。その種類は世界一だという。アマゾンの密林地帯には数多くの鳥も生息し、サンタクルス動物園では黒豹、ジャガー猫、コンドル、獏など、めったにお目にかかることのできない動物たちにも会うことができ、なるほどコロンビアが「ノアの方舟」と呼ばれることに納得できる。

南米とヨーロッパの玄関口となっているこの国には様々な文明、民族が混ざり合ったことで生まれたユニークで発想豊かなものが街には溢れていた。首都ボゴタの世界最大級の黄金博物館を訪れるとキンキラキンのまばゆい黄金製品の量とスケールに圧倒される。
これだけの金がコロンビア各地で見つかっているなんて!

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どれもこれもとても精巧でもはや芸術品。コロンビアに生息する動物たちが模されたような黄金細工のふしぎなデザイン。顔はジャガーのようで、体は虫、そこに鳥のような羽をもつデザインや、トビウオ、コウモリ、獏のような生き物、デフォルメされたカエルやワニ、編み目模様まで繊細に作られているハンモック、今でもアクセサリーとして使えそうなおしゃれなもの、ロボットのようなもの、抱擁している人、大きな黄金の甲冑まで。何千年も前の合金技術が素晴らしく一度に大量の金に囲まれ金酔いしそうなほどだった。

黄金製品が発見されたことで何年か前に世界的なニュースになったグアタビータ湖を訪れた。古代人はこの山頂で満月の夜にたくさんの黄金製品を投げ込んで儀式を行ったという。湖の丸さからも連想されそうな女神が宿っていると信じられていた。

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やがてここを訪れたスペイン人は驚くことに人海戦術で湖の水をバケツリレーで汲み出し始めた。けれど、雨が降るとまた水量は元通りになる。そこで山の一部分を切り崩して湖の水を流し出すという荒手な方法に切り替えたという。その削り取った部分は見事に巨大なV字型として残っていて、いかにスペイン人がエルドラドの虜となっていたかその根性、労力に感心する。同時にこの湖を守るように聳えている山の力にも感動を覚えた。徐々に木が生え、山が自分自身で削り取られた穴を埋めている。やはりこの湖には神秘の女神が宿っているのではないかと思わせられる自然の回復力。

今でも湖のそばでは黄金細工が見つかる可能性があるので、常に警備員が目を光らせている。もし私がこの場所で黄金製品を見つけたなら金に目がくらみこっそりポケットに忍ばせた瞬間ライフル銃で撃たれるのだろうかと余計な妄想に浸り、黄金が人々の心を駆り立てるのは今も昔も変わらないのだと、魔性の力をとても不思議に思う。

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所変わってマグダレナ上流の標高約2000mに位置する南米最大級の世界遺産サンアグスティン遺跡公園を訪れた。ここはまだ観光地化されていない長閑な場所で、村人が遠くで奏でる音楽が響き渡るほど夜も静かな山奥。敷地内からはマグダレーナ川も見下ろすことが出来る。ブラジルのアマゾン川、太平洋、カリブ海へと続く川の始まりだ。

広大な敷地内に紀元前1500年ほど前の巨大な石像やお墓がゴロゴロあるのだけれど、石像と石像の距離感がまったくつかめない。とにかく広すぎるのだ。パンフレットには次の石像まで徒歩何分、馬で何分、車で何分と記されているけれどとても一日では回りきれない。油断すると自分の居場所すら見失ってしまいそうだった。後半は遺跡でおなかがいっぱいになってしまい、一生分の石像を見たような気分に。

これらの石像にも人間と動物が一体となったようなものが多かった。石像はファミリーの家紋のようなものだったのではないか。ジャガー村の人、コウモリ村の人、植物村の人等々、動物と一体となった人間像は神に近づいた証拠であったというから、この世は神が支配するというよりも、自然界に神を感じる方が強かったのではないか。

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もしかしたら昔と大して変化していないのではと思わせる長閑な風景を眺めながら、何千年も遥か昔の人々の暮らしに思いを馳せた。彼らが黄金を湖(自然)に還すことも、動物と結合するような意識も、そこには支配したり奪ったりすることではなく、与え、一体になることで自分たちも命が与えられるということをよく知っていたからなんだと思う。この場所で黄金細工を含めた文明が生み出されていたとしたらまだまだ未発見の遺跡もゴロゴロ出てきそうな気がする。この地の自然観、スケールの大きさ、発想の豊かさを感じ、滞在中は私も少し大らかな人間でいられたと思う。

おまけ

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「世界価値観調査」というものによると生活満足度世界一はなんとコロンビアだという。この国で貧富格差の大きさは感じたけれど、状況を良い方に考えるポジティブな人が多く生真面目に考えすぎない明るさを持合せているのだろうか。お祭りも多くストレス発散になり、家族の絆も強いそうだ。 コロンビアは花とコーヒーの国。日本で売られる母の日のカーネーションはコロンビア産が多いという。「美味しいコーヒーはほとんど日本に輸出されるんだよ。だから日本で飲んでいるコーヒーのほうがコロンビアで飲むコーヒーより美味しいと思う」と、現地の方に言われてから珈琲を飲む度、カーネーションを見る度、海沿いのシーフード、サルサ音楽、真っ黒な長い髪に真っ赤なルージュの女性たち、サッカーに燃える熱いサポーターたちを思い出し、コロンビアを勝手に身近に感じている。帰国後テレビで観戦したワールドカップではコロンビア選手に注目し「コロンビアって美人さんだけでなくハンサムさんも多かったのだ」と心ときめいた。

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