2013.05.14

シーガイア - 明日への活力

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到着

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東京から約1.5時間、飛行機からタラップに降りると、ふと見慣れない足元のマットに気づく。今まで世界何カ国もの空港に降りたが、このようなマットを目にするのは初めてだった。そのマットには「口蹄疫・鳥インフルエンザ 防疫マット」という文字が。そうか、ここは大きな打撃を受けた場所なのだと意識させられた。

空港の前後左右に広がるヤシの木、ビロウ樹、ワシントニアパーム、そして宮崎県の木、フェニックス。一気に南国の空気に包まれ、タクシーに乗り込むと、70歳前後のタクシードライバーさんが目に飛び込むものひとつひとつ丁寧に説明して下さる。

「あそこにソテツがあるでしょう。葉っぱは蠅たたきにもするんですよ。成長して育ったら丸坊主に刈る。そうするとまた新芽が生えるんですよ。」「人の頭もそうだったらいいのにね。はははー。」と味のある宮崎弁で説明してくれる。そして時折理解できない言葉に私は「ん???」と耳を傾げる。「日向時間のてげてげ運転がなんちゃらかんちゃら・・・」、

「てげてげ?」
「そう、てげてげ。こちらでは "てげてげでいこう" "てげてげ運転やめましょう" とかって言うな。」と運転手さん。つまり、いい加減。良い加減というニュアンスになるようだ。「 "てげうめー" と使うと "すごく美味しい"というような感じかな。」、てげ = すごい のような意味にも変化するらしい。へえ、方言っておもしろい。

他愛無いお喋りに花を咲かせ、30分程走っただろうか。「お客さん、ここからもうシーガイアですよ。」気づくと車は広大な敷地に進入していた。右手に海。左手には防風林の松林。敷地の奥へ進むと、天まで届きそうなホテル、シェラトン・グランデ・オーシャンリゾートがそびえていた。

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ロビーであたたかな歓迎を受け、手足を思いっきり解放した。ここには、あれもこれもと目移りするほど魅力的なアクティビティーで溢れている。
700ヘクタールの黒松林に囲まれたシーガイアのリゾートエリアには4つのホテル、2つのゴルフ場、テニスアカデミー・ゴルフアカデミー、乗馬クラブやボーリング場、温泉、スパ・・・、またシーガイアエリアに隣接するヨットハーバーやビーチ、動物園や植物園、神話スポット等々・・ホテルで自転車をレンタルしてサイクリングも気持ちいい。

なんだろうこの高揚感。カラダ中にアドレナリンが充満し、とてもワクワクしてきた。

乗馬

「あ、馬いる!」と、まるで罠にひっかかったように私はその名を口にしていた。施設名がそのまま 「 UMAIRU 」というネーミング。ここでは乗馬ミニコース、引き馬コース、シービューコースの3つが用意されていて、好きなコースを選べる。引き馬コースなら乗馬初心者でも安心して楽しめるようになっているし、ちょっと慣れた人なら海岸沿いでの乗馬も楽しめる。

さて、私が跨るのはジプシーという名の20歳の馬。「20歳か、元気な女の子だ」と思っていたらなんと人間齢では80歳くらいだという。調教師の高山さんが乗るのはピノキオという名で、こちらも20歳。最高齢のマックスは25歳で人間だと100歳。おじいさんのマックスは、最近はコースに出させてもらえず一頭でお留守番することが多くなってきたらしい。この日もマックスを置いてコースに出た。

心地よいリズムに揺られながら黒松林を抜ける。森林の薫りで次第に心が安らぎ癒されてくる。松林から歩道に出て蹄鉄がパッカパッカとアスファルトに鳴り響く。遠方に見えてきた小さなトンネルを抜けると、目の前に雄大な一ツ葉海岸が現れた。素晴らしい開放感。

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馬に身を任せていると、副交感神経が刺激され心臓や消化器の働きを良くし、腰痛にも良好だという。サーフィンと似ているのかしら。サーファーは波のリズムに身を任せてボードに乗っていると体内リズムが良好にリセットされるという。波乗りならぬ、馬乗り。乗馬もなかなか良いかもしれない。

「騒音に敏感で環境に左右されやすい繊細な馬にとっても、ここはとても良い環境です。」と高山さん。確かに、馬もリラックスしているように感じる。

小屋へ帰ると、寂しがり屋のマックスが柵に寄り添うようにこちらに近づき「おかえり」と出迎えてくれた。「残されたマックスはいつも泣いているんです」と。のんきに乗馬を楽しんでいたので全然気づかなかった。気持ちを察することが出来なかった、ごめんね、マックス。

宮崎県最南端の都井岬には日本古来の野生馬「御崎馬(みさきうま)」が100頭ほど生息している。日本古来の馬の絶滅が危惧されている中、野生馬の存在は貴重だ。乗馬を終え馬たちに頭を下げたくなった

天空のスパ

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タイで生まれたバンヤンツリー・スパを体験するためシェラトン・グランデ・オーシャンリゾートの39階に降り立った。エレベーターが開いた瞬間から天女のような女性たちが出迎えてくれる。
シーガイアの異界。

全室個室のオーシャンビューで眼下に広がる青い海を望みながら施術を受けることができる。

日向夏茶をいただきながらカウンセリングを受けオイルとお香を選ぶ。 ここではすべて現地の天然産物を利用している。

重いスーツケースや書類を抱える日常で凝っている私の体。マッサージをしてくれる女性の細い指はほぐしてもらいたいツボにピンポイントだった。ささやくような優しいトーンで会話が運ばれ、華奢な体からは 結びつかない力強さもきちんと兼ね備え、強くも弱くも変えて下さる。

気づくと「三佳さま、終了です。」と天女の声。はっと目が覚める。いつの間にか深い眠りに落ちていた。「オイルはこのまま肌にゆっくり染み込んでいきますので、洗い流さずどうぞそのままで残りの一日をお過ごしください。」と。
その後、血行が促進され、鼻水や、お手洗いに行く回数も増え、解毒(デトックス)効果は顕著だった。

日本で唯一ここにしかないバンヤンツリー・スパ。このスパ目当てに訪れるお客様もいるのではないかしら。それにしても、天女たちは肩など凝らないのだろうか・・・と余計な心配をしながら異界から現実界へと引き戻された。

宮崎料理

リゾート内のフラッグシップホテル、シェラトン・グランデ・オーシャンリゾートの鉄板焼「ふかみ」のカウンター席でお夕飯をいただくことに。地元で収穫したお野菜、魚介、お肉、素材の味をしっかり活かした一品一品を熟練シェフが目の前で調理していく。近海で獲れた大きなアワビはほうれん草のソテーと一緒に、野菜のブイヨンをバターでからめたソースで。宮崎県産のアワビは、わかめなどの海草しか食べていないから肝は苦くないのだという。

鰻の肝など臓物系が苦手な私は、おそるおそるアワビの肝を口に運んでみた。「あら、本当。まったく苦みがない。」アワビ自体もやわらかく甘みがあり、絶品だった。

4~8月まで伊勢エビは産卵時期で禁漁となるためおあずけ。代わりと言っては蟹に失礼だが、たらば蟹のバター焼きを、出汁に青のりとネギを加えたソースで。おうちでも挑戦してみたくなるようなソース作り。お口直しに、紅芋と日向夏のジュースを凍らせたものをクラッシュした水菓子をいただき、いよいよ今夜のメイン宮崎牛。A5ランクの最上級だ。

2010年の口蹄疫、2011年には鳥インフルエンザ。
試練を乗り越え、2012年に行われた全国和牛能力共進会では宮崎牛が大会二連覇の日本一に輝いた。肉用牛はA1~A5ランクに分けられ、A4もしくはA5ランクでなければ“宮崎牛”とはよばれない。それ以下は '宮崎県産和牛' と命名されるのだという。選定条件は種、毛並み、艶、肉付き、牛の形、つまりいかにナイスボディかを見るのだという。

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シェフ曰く「ここで肉と向き合って十数年経ちますけれど、肉はレアが一番いいと辿り着いたんです。なるべくレアに近い方が肉の味がよくわかりますし、胃にもたれないんですよね。ミディアムぐらいまで焼いてしまうとお肉が油を吸ってしまいますしね。自分の体温に近い方があっさりいただけるんです。」

私は普段あまりお肉を食べない。しかもレア肉は口にすることは無いだろうと思っていた。けれども、シェフの'肉'に対する情熱にほだされ、サーロインステーキのレアを食してみることに。わさび醤油、イタリア産竹炭の塩、ふかみオリジナルワイン塩、そして柚子胡椒の4種類の調味料で味比べをし、レア肉の持ついろんな変化、いろんな顔を楽しんでみた。個人的には竹炭のお塩がピリッと辛口で肉の甘みとのバランスがよく美味しいと感じたけれど、ワイン塩も外せない。

「いつもここで肉を焼きながら、どういう食べ方が一番お客様に喜んでいただけるのか、どうしたら宮崎牛の美味しさをお伝えできるのか、そればかり考えています。」そんな、'宮崎牛'への愛情たっぷりの臼間シェフが考案したのが「牛みそ」。これがまた、ごはんによく合うこと。「ごはんにあうものを考えました。」とシェフ。この牛みそを霰(あられ)と一緒にごはんにのせ〆のお茶漬けに。「宮崎牛使用のため一瓶千円とちょっぴり贅沢な牛みそになりますけれど、美味しいと自負しております。」

お腹がいっぱいでデザートには手が着かないと思っていたが「きんかんだけでも食べてみて下さい」とシェフの笑顔におされ口に含むと、ふわ~っとひろがる自然な甘みがとても美味だった。前菜からデザートまで「てげうめ~」と別腹がぽこぽこ増えていく。美味しく食べられるって幸せだな。なぜ宮崎でこんなにも家畜や野菜がおいしくスクスク育つのだろう。

それはまず宮崎の水、気候風土、お日様の光が影響しているという。宮崎県は日照時間が長く、快晴日数は日本一なのだそうだ。だからだろうか、宮崎出身の人はのびのびと大らかな人が多いような気がする。

「ぼくは、お客様がシーガイアを再び訪れて下さるには、食事にかかっているといっても過言ではないと思っているんです。他のすべてがどんなによくても、お食事でがっかりさせてしまったら、、。」

大げさなパフォーマンスを行わずとも、鉄板越しに交わされる豊かな会話と豊かな食材でシンプルに満たされる。熟練シェフの責任感、プロ意識を覗かせてもらい、シェフの愛情が注がれる料理たちも幸せだなと思った。そんな幸福な味で満たされた私の胃袋と同じくらい丸くなりそうなお月さまを眺めながら露天風呂にゆるりと浸かった。

シーガイア最後の朝

未体験のアクティビティーがまだまだ沢山残っている。ゴルフコースも体験してみたいな。シーガイアの自然の中でおもいっきり遊び、食べ、リラックスし、からだと、こころと、あたまに明日への活力をもらった。
どこまでも広がる太平洋からゆっくりと顔を出す日の出。午前5時55分。名残惜しくも、清々しい気持ちでシーガイアの夜明けを迎えた。

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