2013.04.09

ワイルド・ヒポ-実は獰猛だったカバ

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アフリカ、ザンビアのムフェ(Mfume)空港に到着すると、"Our animals are here for you. Just enjoy."と、書かれた素朴であたたかみのある大きな絵が私を出迎えてくれ、すでに空港には、今晩宿泊するムフウェロッジからサファリカーでお迎えが来ていた。

乾いた熱風に吹かれながらサウス・ルアングワ国立公園を走り抜ける。遠方に大きなバオバブの木が神々しく佇んでいる。

アフリカ大陸の南部を流れインド洋に注ぐ川、6つの国をまたいで悠然と流れるアフリカ第4番目の長さのザンベジ川。この川の水が大地に恵みを与え、野生動物たちの命を支えている。なかでも、支流のルアングワ川沿いは野生動物の宝庫だ。

陽が沈みかけ、ルアングワ川がオレンジ色に染まる頃、「君に見せたいスペシャルな場所がある」とガイドのオニーシャス氏が言った。車を降り、黙って彼のあとについていくと、辿り着いた水辺で待っていたのは、

絶滅の危機に瀕しているジャイアントパンダ。私たちは自然環境をこれ以上壊さず守ること。私たち人間の心掛けで、その愛らしい姿をこれからも見れますように。なんてたってパンダはみんなのアイドルなんだから。

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自分の目を疑う程のおびただしい数のカバ!
そこには、およそ100頭のカバが2つのテリトリーに分かれて暮らしていた。わたしの目の前には200頭近いカバたち。

彼らは川の中でじっとして、水の中から目と鼻と耳だけを出し周囲の様子を伺っている。それぞれに縄張りがあるため、別のカバが近づくと自分たちの居場所だと主張するのだが、その鳴き声が凄まじい。カバのブーイングが地震のように大地を振動させた。

縄張りに誤って侵入しようものなら、命を落とすこと間違いなしの状態、縄張り争いに遭遇した私は、その場で身動き一つできずに男同士の戦いに見入ってしまった。 なんて縄張り意識の強い動物だろう。戦いに破れ、瀕死の重傷になるカバや命を落とすカバもいるという。縄張りを新たに手にしたボスは先代のボスの子どもを殺してしまうのだそうだ。

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子どもを守ろうとする母親はどんな気持ちだろう・・・。

カバが口を大きく開けるのは威嚇のポーズだという。それにしても、大きな口!そばにいる鳥やワニまでも飲み込んでしまうのではないかと思うほどだ。テリトリーに侵入したワニがカバに真っ二つにされてしまうこともあるというが、その反対に、ワニに襲われ死んでしまったカバが何倍にも膨らんで川に浮遊していたり、おもわず目を覆いたくなるようなカバの屍に遭遇してしまったり、自然界の厳しさを目の当たりにする。

カバたちの大ブーイングが鳴り止むと程なくして、何頭かのカバが尻尾で糞を撒き散らし始めた。まるでプロペラのように、ぶるんぶるん糞を撒き散らしている。このプロペラ攻撃は、テリトリーを守ろうとする臭い付けのためと、糞で水を濁して身を守るためとも言われている。

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またその一方で、カバの糞が川に住む魚たちの栄養源にもなっているという。カバが減ると魚がとれなくなり人間界にも影響を与えるというのだから、世の中に無駄なものは何一つなく、みな繋がっているのだとつくづく考えさせられる。

俺らの陣地に入るな!と仲間はずれにされてしまったカバの背中がなんとも切ない。しかし、突然走り出すカバを目にした時は驚いた。

のろまそうに見えるカバだけれど、侮るなかれ、めっちゃ速い。時速50kmぐらいは出ていたのではないかしら。ふつう動物たちは、自分より大きな動物には立ち向かわないそうだけれど、カバは大小関係なく、躊躇なく襲うそうだ。これでは、カバに遭遇してしまった人間は一巻の終わりだなと痛感する。だから、カバがテリトリーを示した糞を目にしたら注意すべし。

大人のカバの体重は3トン、それに比べ産まれたばかりの赤ちゃんは30kg。100分の1。

群れで生活をするカバ達は子どもを守るために、母親は子どもをカバの幼稚園に預けて、エサ探しに出かける。小さな子カバたちが水面に目だけを出してキョロキョロしていた。そのすぐ傍には子どもを見守る大人のカバが1頭いたと思う。人間界にも見られるようなカバたちの工夫。自然界に存在するカバ独自の幼稚園に感心する。

さらに、驚く事に、カバは泳いでいるように見えるが実は歩いているのだという。底を蹴って水の浮力を利用して器用に移動しているため、深みにはまると溺れてしまうカバもいるという。そんなバカな・・・水を愛すカバが・・・泳げないなんて。若干金槌な私は、カバの意外な弱点がなんとも憎めず、親しみを抱いてしまう。

もう一つの弱点は、肌が乾燥しやすく紫外線に弱いということ。カバって意外とデリケート。その為、カバは日中は水の中で過ごし、夜間、陸にあがって草などを食べる。

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さあ、そろそろ日が沈む。ここからはカバの時間だ。
ガイドのオニーシャス氏が、「SunDowner (サンダウナー)」と呼ばれる夕暮れ時のカクテルタイムを用意してくれていた。夜の帳が下りたルアングワ川沿いの水の王国に、カバの野太い鳴き声の残響が続く。

人間の目には見えない動物達の夜の世界。目を光らせるナイトサファリのスリルもまた楽し。サファリカーを降り、明日を約束してくれる真っ赤な夕日に今日一日への感謝の杯を酌み交わし、 "Our animals are here for you. Just enjoy." という文字がぷかぷかと脳裏に浮かんだ。

追記

陸の動物の中ではゾウの次に大きいカバ。近年、象牙のかわりにカバの牙までもが狙われ、カバの絶滅が心配されている。 そうまでして牙を求める人間に疑問を抱いてしまうが、象牙などの需要がある限り、絶滅危惧の問題は消えないなのかもしれない。

絶滅の危機に瀕しているジャイアントパンダ。私たちは自然環境をこれ以上壊さず守ること。私たち人間の心掛けで、その愛らしい姿をこれからも見れますように。なんてたってパンダはみんなのアイドルなんだから。

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