2013.03.12

Giant Panda-なんたってアイドル

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謎多き生物、パンダ、

これまでパンダは笹しか食べないと、言われていた。そもそもなぜ笹なのか?人間が誕生する遥か昔、800万年前から生存していたというパンダ。

氷河期には肉食獣は食べるものを失い絶滅してしまったが、パンダは氷河期にも枯れない笹を食べ、草食に進化して生きのびて来たそうだ。しかし近年、野生のパンダが鹿を食べた痕跡が見つかったという情報もあり、実態は謎に包まれている。

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白と黒のふしぎな身体模様は、氷河期には保護色になったとも考えられている。たしかに雪の中にいるパンダは、一瞬どこにいるのかわからない。見事にカモフラージュしている。地球の環境変化に順応し、氷河期から今日まで生きのびてきたパンダ。

今から140年程前、狩りが流行していたヨーロッパではパンダの毛皮が高く売れたため、中国にやってきたハンターたちはひたすら野生パンダを狙った。
そして、21世紀の現在、パンダの数は激減し、絶滅の危機をむかえるまでになってしまった。

野生のパンダは世界中どこを探したって、中国の山林にしか居ない。その中国のなかでさえ、野生のパンダに会えることは奇跡的なことなのだ。

パンダの知られざる飼育環境

そんな希少動物である、パンダとの出逢いをもとめ、私は中国四川省の臥龍と成都のパンダ保護施設を訪れた。一日体験飼育員としてパンダのお世話をさせてもらうという、夢のような機会を与えられた。

中国語で「大熊猫」と書かれるジャイアントパンダ。その言葉からは想像できないが、パンダは病原菌に弱いため、お世話をする私たちは手袋をして、服の上には青いカバーを着用し、消毒をしてからパンダに接しなくてはいけない。

産まれたばかりの赤ちゃんの体重はお母さんの1000分の1。それは、それは本当にちっちゃい。パンダの赤ちゃんは双子で産まれる確率がかなり高く、母親は本能で強い方の子どもだけを選び育てる。選ばれなかったもう片方の弱い子は、野生界では生きられないからだ。

そうしたことを危惧し、パンダ保護施設では研究員、飼育員さん達が双子のパンダの両方を元気に育てていく方法について、日夜研究に研究を重ね,何年もかけて調べていったのだった。

飼育員さんは人間の子どもを抱っこするように子パンダを抱え哺乳瓶に入れたミルクを与える。ミルクをあげたら背中をさすり、げっぷを出させ、便を促すためにお腹をさする。

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このように愛情を注いで接しているうちに、赤ちゃんそれぞれにも個性が見えてくる。やんちゃな子、甘えん坊、シャイな子、いたずら好きな子など。 また、お母さんパンダも様々だ。子育てを放棄してしまうお母さんもいれば、自分の子どもではない子パンダを愛情深く育てる母親もいる。

赤ちゃんパンダは成長して大きくなると笹を食べ始める。その量は一日に30~35kgにもおよび、一頭のパンダが生活するには、東京ドーム230個分の竹森が必要ということになる。部屋の掃除、笹の交換、フンの清掃、パンダのおやつの時間、シャワーの時間、すばしこく動き回る赤ちゃんパンダたちからは片時も目が離せず、飼育員さんはランチタイム以外は自分の時間がまったくない。

しかもパンダは中国の"生きた国宝"。怪我をさせたら大変なことになってしまう。パンダを育てるということは強い責任感と大きなプレッシャーがともなう。 それでも飼育員さん達はみな、「小さい頃から望んでいた夢。辞めたいと思ったことは一度もない!」とパンダに感謝し仕事を心から愛している。 日本の動物園でも会えるパンダは、こうした人たちの愛によって運ばれてきているのだ。

野生にかえそう!

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2012年、パンダ保護施設で育てられてきたパンダを野生の森(パンダ谷)に還すプロジェクトが実現された。

野生に還すパンダの中で真っ先に選ばれたのが、私がお世話をした2頭の少女のパンダだった。

四川大地震直後、メンタル面でもパンダに影響を及ぼし多くのパンダが妊娠できなかった中、元気に誕生したのがこの2頭の少女のパンダだった。彼女達は四川の復興シンボルともなった。多くのマスコミや見物人に囲まれながらパンダ谷に還されたパンダは、皆が去った後、高い高い木のてっぺんにしがみつき、身動きひとつせずに、とても寂しそうな顔をしていた。

現在、パンダ基地で私たちのそばにいるパンダは、森から預かっているだけ。再び森に還すことが本来のあるべき姿なのだとわかっていながら、大切に手厚く育てられてたパンダが自然の厳しさに耐えられるのかと心配になってしまい、寂しそうな表情には胸が締め付けられ、切なくなってしまった。パンダは実はとても繊細で感情豊かな生き物なのだ。

もし、パンダたちが今この時だけ私たちにその愛らしい姿を見せてくれているのだとしたら… 今パンダと触れ合えるのはなんて貴重な時間だろう。

絶滅の危機に瀕しているジャイアントパンダ。私たちは自然環境をこれ以上壊さず守ること。私たち人間の心掛けで、その愛らしい姿をこれからも見れますように。なんてたってパンダはみんなのアイドルなんだから。

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