2013.02.12

Mファミリーの一員~シチリア

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「手を浸すと染まってしまいそうな青」の青い地中海、そしてそれに続く青い空、歴史に包まれたどこか懐かしい街並み、風にそよぐ洗濯物、エレガントな建造物、レモンの香り、鈴なりに実った飴玉のようなオリーブ、美味しいパスタやジェラート!

私が以前から憧れ、訪問を夢みた 南イタリア・シチリア島。

朝市を訪ねると、店先で目にした乾燥パスタの種類の多さに圧倒され、ハムやチーズの量に立ちどまっては目を丸くした。買い物かごをさげた住人が最も多く群がるのは、新鮮な魚貝類が並んだ魚屋。築地を彷彿とさせる威勢のいい声が飛び交う。

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しばらく歩くと、こんがり焼きたて熱々のリコッタチーズや、シチリア名物のドルチェ「カンノーロ」を気前よく試食させてもらえた。カンノーロを口にした瞬間、私の胃袋から、あの映画のあの名曲が鳴り響いた。たしかPart3では、マッシモ劇場で老ボスが、オペラを鑑賞しながら「これぞシチリア名物のカンノーロだ!」と言いながら毒入りカンノーロを食べ、殺害されるというシーンがある。

黒いスーツにきっちりとしたネクタイ、ポマード頭にソフト帽、胸には赤いカーネーションという出で立ちの男達が現れやしないかと、カンノーロを味わいながら勝手にドキドキ。まったく呆れた私の想像力。そんな男性はちっともお見かけしなかったけれど、イタリアの男性がサングラスをかけてスーツを着ればみんなマフィアに見えるし、本当の大物はこのような街中には現れないだろうとはたと気づく。

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それでも、スーパーマーケットの宣伝広告には、気前よくマフィアをイメージした絵が描かれていたり、お土産グッズにも銃を持ったマフィア像のペン等が売られたりしているのを見かけると、恐いというよりむしろシチリアの人々のユーモアに癒されてしまう。

ゴッドファーザーが映画の中でシチリアを好きな理由をこう述べている。
「島の歴史を見ると、島の人には恐ろしい無法ばかりが起きている。それでも人々は不幸でなく幸せが訪れると信じているんだ。」

シチリアの貧困時代、南イタリアの富は首都のローマがある北へと吸い上げられ、取り残されたシチリアの人々の中に、国家への憎悪が根強く残り、それが同郷人同士の団結となり、マフィアが誕生したという。映画の中でも見られるような、マフィアがファミリーを大切にする愛を、シチリアの伝統行事「死者の日」を取材し強く感じた。

死者(ご先祖様)がサンタクロースのように、子々孫々にお届けものをする。死者の日は、こうして楽しみながらご先祖様と繋がることができ素晴らしい伝統行事だと思った。家族でお墓参りに行き、食卓では、前日に女性達が用意した盛大な料理を一同で囲み死者を偲ぶ。
笑い声の絶えない賑やかな場であったが、幼い孫が、亡くなったおじいちゃんと、今なお家族を支えてくれているたくましいおばあちゃんが大好きなのだ、という感謝を述べると家族の目には涙が溢れ、その場に居合わせた誰もが言葉にできないほどのあたたかな時間に包まれた。

シチリアの人々の家族愛、愛郷心は並々ならぬものがあると感じた。

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そんな家族の中に箱入り娘のように愛される犬。

おそらく犬自身もファミリーの一員であると信じているのだろう。一家のご主人様の命令にきちんと従っておとなしくしているが、でれっと客人の膝の上にあごをのせ眠ってしまう様子をみると、番犬にはほど遠いかもしれない。

私がシチリアで出会ったワンちゃんたちは、人々同様人懐こく来るものを拒まない。プレイボーイなオスたちはかわいいメスを見かけると、尻尾を振りリードをぐいぐい引いてメスに近づき、犬同士の会話を始める。かわいいメスを口説くことに切磋琢磨していると、「そのくらいにしておきなさいよ」とマンマにたしなめられてしまうのである。それでも彼らは前向きに信じている、これからいいことがあるだろうって。そして家族の愛を育んでいくんだ。

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あらゆる国に支配されながらも様々な文化を受け入れてきたシチリア。海岸に佇む老人と犬の穏やかな横顔の裏にふと感じる孤独や気高さ。
けれど、出会った住人の大半がおどろくほど寛容で明るく人懐こくてチャーミングだった。
仏頂面だった老紳士も次第に心を開き、別れ際には「Ciao Mika, Arrivederci(アリヴェデルチ) また会う日まで」と言って下さった。

シチリアに燦々と降り注ぐ太陽のようにあたたかい心で、どんな過去も笑顔に変え、前に進むことが大切だと教えてくれた。

それが私が出逢ったシチリアだ。

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