2012.11.13

湯たんぽ犬

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メキシコの東海岸で私を出迎えてくれたMexican Hairless Dog(メキシカン・へアレス・ドッグ)。私は、尻尾を振って接近してきた彼らを抱きしめようとしたが、その風貌に少し躊躇してしまった。

その名の通り本当に毛が無い、その姿はなんとも珍奇だった。古代名はXoloitzcuintli (ショロイェツクィントリ)と、舌を噛みそうなネーミング。ナワトル族の言葉で「神ショロトルの犬」という意味を持ち、ショロトルはアステカ文明の双子の神、球技の神、醜いものの神であったという。

動物はケモノというほど全身毛で覆われているもので、犬には毛があって当然と思っていた。しかしヘアレスドッグは頭の上としっぽの先にほんの少し毛がはえているのみ。毛が無いぶん普通の犬より高体温で40℃ちかくあり、人間のように汗腺があるので汗をかくというのもちょっと変わってる。体温を下げるためのゼーゼーという喘ぎ呼吸もしない。

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その肌は'あたたかい'というより'あつい'と言った方が適当かもしれない。 肌に触れた感触はザラッとしていて見た目はまるで象の肌。乾燥した皮膚には"くしゅくしゅ"と皺が寄る。日光を浴びすぎたり乾燥してしまうと日焼けした状態になるため、肌にベビーオイルなどの油を塗ってあげなければカサカサになってしまうと言う。

ところでこの無毛犬、人間が品種改良してきたのだろうか?一度だけ起こった古代の突然変異で、幸運にも絶滅せずに生き残ってきたという説が強いと聞くが。

性格については、おとなしく、品位があり、従順で敏感、賢いが知らない人に対して用心深いためわかりにくいとある。私を出迎えてくれた彼らへアレスドッグたちは大変人懐こく、おとなしく、充分賢かった。

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メキシコに滞在中、放し飼いにされた犬をよく見かけた。放し飼いなのでワクチン接種をしていない犬も多く、自動車事故にあっている犬も多い。自由の身が本当に動物たちにとって良いのか悪いのか分からないが、メキシコでは、犬は家族やペットというよりAnimal(動物)という感覚に近いそうだ。人間の愛玩目的だけで飼育していないのである。

おまけ

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古代アステカ神話、かつて神々が太陽を作り出そうとしていた時、 多くの神々がその身を犠牲にしなければならなくなった。しかしショロトルは太陽に己の身を捧げることを嫌がったという。他の神々はその身を太陽に捧げ、のちに太陽はこの世に来たが、一人取り残されてしまったショロトルは仲間のいない寂しさに号泣したのだそうだ。太陽に身を捧げなかった報い故に珍奇な風采だとしても(脚が後ろ向きの犬の姿)。いまとなっては充分人間の役に立っているXoloitzcuintli(ショロイェツクィントリ)なのである。

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